レモネルド。地位を持たず、定住を嫌い、そして何より炭酸のように過激で、すり潰されたレモンの様な過酷な道のりを辿り、そうして混ぜ合わせたかのような在り方を貫いた者。
うそ、めっちゃ嘘ごめん、マジ😅
こっから先、夫とアルマジロとキムタクのメールだから、良かったら返信頼むワ👇
古びた街道には、この雨も流すことなく、血の生臭さが行き場を失くし、留まっていた。
すこし顔を顰めたが、特段珍しくもなさそうに一瞥し、また手のひらの上でレモンを転がし、歩み始めた。
男の無骨な革鎧の胸元には、レモンの葉の刺繍があしらわれていた。
「あれは…どうやら今夜も乗り切ったようだ。」
今夜、この宿屋を見つけられたのは幸運だった。雨は勢いを増していたが、作りの良い木造のこの屋根は、平常を保っていた。足止めを食らったであろう商人に、ブドゥグレィプ騎士団の男たちが、各々酒を飲み、語らいあっていた。
男は、喧騒を避け、時折ぶつかりながら、最終的には年季を感じる長机の端に腰を据えた。少し待つと、かなり髭を携えた熊のような男が目の前にやってきた
「亭主、酒はあるか。」
「あぁ、見た通りさ!酒の品揃えなら都にだって負けない自信があるぞ、ほら、好きなのを選べよ」
確かに───────リッティエロの銘柄もあれば、ワイーヌの年代物まで取り揃えてある、彼であれば…きっと喜んだだろう。
「そうだな…リッティエロの、ほう、これは薬酒か?バッファリン・ツズゥを一杯頼む。」
「強いぞ。」
「構わん、どうせこの雨なら明日も暫く足止めだ。」
酒場の喧騒の中、手帳を開く、半分はあの男の綴ったであろう旅の中の記憶、そしてそこから先は、神経質で短い文が続いている。
手元についたバッファリンを舐めるように飲み始めると、その青臭さの中に、過去を思い出した。
騎士か、商人か………レモネルドか、どの道が正しかったのか、あの男との出会いがなければ、いや、もう後戻りはできないのだろうか。
手の届かない舞台に立つ運命に踊らされ続けるのみか
あの男と出会ったのは、晴れた森の中だった。
ちょうど葡萄戦争の終わった頃、騎士としての職を失くし、近隣の収穫護衛などで日銭を稼いでいた。その日も男は獣の駆除を終え、帰路についていた。
「その日の唇を潤すために動いて、動いて唇を乾かし…」
ふと、戦争が始まってから今までを振り返ると、全く無意味に思えて仕方がなかった。農村から徴兵を受け戦いに駆り出され、終われば投げ出された。当時の内外での戦争に対する感情の乖離、特に内側の忌避的な感情は、返り果汁まみれで帰ってきた男を拒絶するには、十分すぎるものだった。フルーツバスケットの次は獣狩りだった、蔑まれながらも、男たちにできることは斬り払うことのみだった、そんな悪循環がより返り果汁の匂いを濃くする。
獣の声が聞こえた、かなり近くだった、遠吠ではなく、近くの敵を威嚇するための声、そして─────
「助けてくれ!誰か!」
男は頭の中のモヤを切り払い、駆け出した。
次章へ続く